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2010年03月19日
『味覚と口内調理』
先週末、上野にある東京国立博物館 平成館で開催中の長谷川等伯特別展を見に行ってきました。
丁度、お昼過ぎに着いたのですが入館するまでに80分待ち状態でした。長蛇の列に加わり1時間以上も遅々とした歩みの中、春の風と陽射しの中で満開のヒカンサクラを楽しみました。並ぶということは、なかなか良いものだなあ~なんて感じていましたが、肝心の等伯を鑑賞する時にはすっかり疲れてしまい「松林図屏風」だけを見て帰りました。
並んでいるときに風と共に春の匂いがしました。春が旬のものには独特の香りや苦味がありますね。例えば菜の花・タラの芽・うど・ふきのとうなど、食品に含まれる渋み・苦みなど灰汁が多いですね。灰汁を上手に取り除くと本当に春の香りに変化するので面白いですね。
その変化を感じて「春が来た」と味覚から受け取ることができるのは生まれ持った本能ではなく、後から獲得する能力のようです。
先日新聞で「味覚:「辛み」「苦み」若者敬遠 好みは「マイルド」、成熟せず成長か」という記事を読みました。また、テレビでも同じような内容の番組がありました。記事によると、辛いものや苦いものを敬遠する若者が増えているというのです。
あるお寿司屋さんでは『わさび抜き』を注文する20歳代の女性が多くなっているとのことです。理由は「わさびを付けて食べたことがない」と話す女性までいるそうです。子供の頃からの味覚や嗜好が変わらず『大人の味』が苦手な若者が増えているのが現実のようです。
刺激に対する嗜好性調査を実施したところ、『苦味の強いビールや辛いカレーを好む』男性は40歳代が23.8%に対し、20歳代は17.5%であり、逆に『あっさりしたマイルドな味を好む』男性は40歳代が39.3%、20歳代は45.6%で女性もほぼ同様の傾向だったそうです。
この結果からどのようなことが言えるかはわかりませんが、後から獲得するはずの辛味や苦味を美味しい感じる能力が獲得できないまま成長してしまった若者は春の息吹をどのように感じるのかしら??と思ってしまいます。
だからといって、わさび嫌いは味覚が発達していない!と決め付けるのは早すぎると思います。好みの問題でもありますが、この状況は子供の頃からの食生活を反映しているとも言えると思います。
ゲームやインターネットをしながらの『ながら食べ』や『マヨラー』と言われるマヨネーズばかりをかけて食べる人が増えるということは味への関心が薄らいでいる状況を反映していると思うのです。
日本には口内調理という食文化があります。ご飯とおかずを口の中に入れると食べ始めからのみ込むまでの間、味は無限に変化するというものです。
口内調理に挑戦してみるには塩鮭のおにぎりで試すと良くわかりますよ。
塩鮭の部分になるとご飯の甘味が増してきます。
春休みになって、子供たちとゆっくりできる時間が取れたら一度試してみてくださいね。子供たちの目が輝き始めること請け合いです。
口の中で味が変化することを実感すると、味に対する感心は増えていくと思うのです。そのためには大人がその関心を引き出す手伝いをしてあげることは必要ですね。
また、口内調理をしていると食べるのに時間がかかります。じっくり食べるので食べすぎ防止効果も期待できます。
メタボが心配なお父さんにも勧めたい食べ方ですね。
投稿者 yoshikei : 2010年03月19日 16:35
